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2015年より、回路図設計・基板設計ツールとしてEagleCAD(ライセンス版)を使っています。理由は、オープンソースハードウェアコミュニティの世界で広まっているため、Arduino系など設計データや、膨大な電子部品のライブラリの入手が容易である点です。 2016年には、AUTODESKの買収を受け、現在は同社のFusion 360に統合され て、3D モデルの生成も可能となっています。(現在バージョン9.6.2)

今回は、I2Cバス延長基板のEagleCADを使用した設計~製作例をご紹介します。

1.パーツ定義
EagleCADには元々豊富なパーツライブラリーが提供されていますが、使用するパーツが新しいもの、存在がないものは、(個人的に馴染まないものを含む)自ら作成する必要があります。シンボル・フットプリント・3D 形状・結線情報などを入力します。

ライブラリーエディタ

2.回路作成
回路図エディタでシンボルとワイヤーで回路図を作成。ここでパーツリストを作成し、部品調達、P板.COMへの手配の準備を行っておきます。

回路図エディタ

3.PCBの作成
ボードエディターに移行し、基板外形の作成とパーツの配置を行います。
この状態では、配線パターンはエアワイヤーで表示されます。

ボードエディター

4.結線作業
エアワイヤーを自動結線(Autorouter)機能で、配線パターンを作成します。この時点で必要であれば手動で修正を行います。 自動結線(Autorouter)機能 は、開発スピードにおいて大変重宝します。

ボードエディター(配線完了)

GNDベタを表示して最終確認を行います。シルク文字の位置・サイズの設定も行っていきます。

ボードエディター(GNDベタ)

AUTODESK FUSION360の機能でリアルなPCBイメージを生成することができます。

ボードエディター(MANUFACTUALING)

5.実装イメージの確認
FUSION 360のクラウドを呼び出し、各パーツとの同期をとって実装イメージを確認します。この時点では、使用するすべてのパーツが3Dモデル定義が済んでいなければなりません。未定義なものは、ダミーモデルとなります。

FUSION TEAM(プロジェクト)
FUSION TEAM(プロジェクト)

生成された3Dモデルは、 STEP形式 などでダウンロードできるので、3D-CADで組立図等に利用可能です。

6.製造データ(ガーバーデータ)の作成と手配
EagleCADのボードエディターより、CAM Processorを呼び出し、ガーバデータとドリルデータを生成します。これらをZIP圧縮して、P板.COMの P板WEBチェッカー にひき渡します。

P板.COM ウェブ
P板WEBチェッカー

ここで、問題となるエラーが無いことを確認して、1-Click見積へすすみ、P板.COMサイトにて、基板製造の発注を行います。さらにサイト内(詳細は省略)にて、実装サービスをセットで発注します。(他にパーツリスト、実装図の送付を行う)
基板製造完了日までに、実装する部品の手配をして、実装工場に送付します(以外にこれが大変だったりします)

7.完成
P板.COMへの発注完了から、製造・部品実装まで土日をはさんで、2週間弱で実装まで終了した基板が届きました。

9.あとがき
今回は当方の設計・製造の流れを簡単に紹介しました。設計~発注まで2日程で行いました。もっと部品点数が多くルーティングや形状が複雑な成果物も長年手がけてきました。(両面実装・高密度実装)そのたびにノウハウが蓄積され、開発スピードも上がってきています。なんと言ってもリソースの再利用や、公開された部品メーカやサプライヤーからのリソース(フットプリント・シンボル・3Dデータなど)が入手しやすくなっている点が大きいと思います。
AUTODESKの製品となった EagleCADは、3Dデータの生成が容易になり、機械的な整合の確認(例えば、収納ケースの加工形状・位置など)も、3DCADソフト(FUSION360の狙いはそこに?)にて容易にできるようになりました。

しかしながら、最近では回路・基板設計CADは、フリーソフトの「KiCAD」の流れを感じています。操作の慣れや、積み上げたライブラリの資産があるので、乗り換えを考えるのは少々複雑な気持ちです。操作性・細かい機能はEagleの方が優れていると個人的には感じています。 (いまのところ必要に迫られていないのですが)